1-1. はじめに
気候変動問題と地域の課題
SINRAは、「地球上の自然が再生し続ける状態」と「地域経済が持続可能に運営される世界」の両立を目指しています。森、海をはじめとする自然は、温室効果ガスの吸収、生物多様性の保全、土・水・空気の循環の促進など、計り知れない多くの価値を提供しています。しかし、これらの価値が見過ごされ、経済的価値が十分に認められない自然資源は、地域経済の観点からは無価値あるいは負債とみなされてきました。その結果、過度な開発による森林破壊、違法伐採、換金作物の農地転用が進み、炭素を吸収し貯蔵する能力を持つ森林が全世界で急速に失われています。
一方、2023年3月20日に発表された「IPCC(The International Panel on Climate Change|気候変動に関する政府間パネル)の第6次統合報告書」によれば、産業革命以降の気温上昇は既に1.1度観察され、このままでは世界の生態系を維持することが困難となり、深刻な被害が生じると予想されています。私たち人類が生態系からさまざまな資源を受け取り、それに依存して生きている以上、この問題に対して多大な悪影響が及ぶことは避けられません。この危機的な状況から「持続させるために現状から悪化させない=Sustatinable」ではなく、「問題を根本解決し、修復、再生させる=Regenerative」へのアプローチの変革が求められています。
このため、SINRAはNFTを用いて、カーボンクレジットをはじめとする自然が本来持つ価値の可視化と、それに対する人々の関与と貢献を促進します。そして、自然資源を破壊するのではなく、保全・再生・増幅することが多くの人々の関与や経済的メリットにつながり、地域経済にも有益な状況をつくることも重要なミッションです。
森羅万象を扱うテクノロジー
SINRAは日本発のRegenerativeなプロジェクトとして、美しく豊かな一方で厳しい自然環境の中で育まれてきた日本の自然観とテクノロジーが融合することで、誰もが自由に多様な価値交換できる世界を目指しています。この融合により、カーボンクレジットだけでなく、多元的な価値(森羅万象)を扱い、さらにSINRAをパブリックブロックチェーン上に構築される「公共財」として位置付けることで、特定のプラットフォーマーに依存せず、誰もが自由に多様な環境価値を交換できる世界を実現します。
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